10/17

10/17

 


10/17は小中とかなり親しかった友人のリョウくんの誕生日で疎遠になった今ではもう会うことはないだろうけど毎年この日になると彼のことをいつも思い出す、風の噂では君はもう結婚もして子供もいるらしいね、僕のほうは満足はしていないけど納得はしてる毎日が続いていて僕たちが中学を卒業した後にも関係が続いていたらどんな感じだっただろうとか時たま考えてもみたりするんだ、知的でクールでどこか影のある君は当時いつもどこかで僕の先をいっている気がして毎日が楽しくてエキセントリックでしょうがなかったよ、もう随分長いこと会ってないし今では出会ってから君の行方がわからなくなった時の時間よりもう会ってない時間の方が長くなってしまったね、それでも僕は君のことを死ぬまで忘れないだろうし毎年この日が来るたびに少しセンチな気分になるんだ、僕は時々故郷の友人に連絡を取ったりしてるけれど君は本当にどこに行っちまったんだ、もう全然あの頃のままじゃなくても会いたいよ、まだ故郷に住んでいたりするのかな?、僕は故郷から離れて昔の思い出や毎日を埋めるために煙草吸ったり酒飲んだり映画見たり本読んだりしてなんとか凌いでる、季節の変わり目ということもあるのか歳を重ねるに連れて10/17に君のことを思う時間が増えてきた、このままもう会わないで美しい思い出のまま馳せるだけの方がいいのかもしれないと何度も思ったけれどやっぱりどうしても顔が見たいし近況の話も聞きたい、教室で火遊びしてカーテンが燃えた時の話や進学する高校選びみたいな過去の話でしか繋がれない他人になってしまったとしてもいいから会いたいな、昔はこうして何か物事を思い描いているだけで人生は終わってゆくものだと思っていたけれどやりたいことや憚られることの障壁というものは本当は無くて踏み出すことは意外と簡単なんだってやっと気づいたんだ、そういう心境の変化もあって今年こそは君と会うってかなり独り善がりだけど決めた、過去の友人関係やSNSでは消息が掴めない君だけどなんとかして会いたいと心から思うようになったんだ、平成という年号が新しくなる時までに君にまた出会えるといいな、その時は昔みたいに気の許せる友人のような関係からスタートするのではなくてまた出会った時のように他人の状態から始めよう、きっと僕らならまた仲良くなれるだろうしそうなれる日が来るのを心から願っているよ、これまで積み重ねてきたセンチメンタルな10/17を平成と一緒に葬って来年は全く新しい感情で10/17を迎えたい。リョウくん、誕生日おめでとう。