人生ベスト映画10+α

 

 ここ何年かで引くほど映画見てる。

自分の息子がもし同じようなペースで見だしたらやめなさいと一喝するくらい見てる。

暇な時間が可視化できるのは大変良いことだと思う。

 

 

 今まで見てきた映画の中で最高だったものを10本くらいここに残しておく。

 

10:インヒアレント・ヴァイス(2014)

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いきなりけっこう最近のやつだけど、これは最高に面白かった。

トマス・ピンチョンポール・トーマス・アンダーソンということでもう最高なのは間違いなけど、これがマジで最高。

物語はかなり混沌としていてかなりグルーヴィな映画であることは間違いない。『ヒッピー探偵、元カノの愛人の大富豪を救えるか?』のキャッチコピー通りの説明以上ができない。

サスペンスと銘打たれているが、これは完全にコメディだと思う。ギリギリ現実で起こりそうな異常事態が2時間永遠に続く感じ。しかもツッコミ役がいないので自体は収束しないまま、えげつないほどのカオスっぷりで物語は進行していく。過剰にデフォルメしすぎていない「ビッグ・リボウスキ」みたいでマジで最高だ。

ポール・トーマス・アンダーソン過去作どれも好きだけれど、これは本当に好みだったし、これを越してくるものはなかなか無いだろうと思えるような傑作だった。

 

9:3−4✕10月(1990年)

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北野武、初めて見たのは「キッズ・リターン」。

映画は4コマ漫画の連続という言葉の意味がこの映画を見て確信的なものになった。この人は日常に存在する暴力の予感を表現するのが上手いな。

内容は本当に4コマ漫画の連続といった具合で、かなりシニカルだけど笑える。途中挟み込まれる、ダンカンと武のカラオケシーンがマジで最高すぎて何回見ても笑う。邦画史に残る名シーンだと思う。

台詞も少ないし時間も短いのでサクッと見れるのもかなり良い。

 

8:アルファヴィル(1965年)

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ゴダールゴダールうるせえ。ゴダール、つまらないものは本当に死ぬほどつまらなさ過ぎて涙が零れそうになるけど(「東風」はつまらなさすぎて引いた)、これは本当に最高におもしろかった。

『感情を失った文明に一人の探偵が忍び込み、その謎を解き明かす...』なんてストーリーラインも最高だし、画もかっこいいわ、台詞もかっこいい、その上笑えるのも良い。

すごく平たく言ってしまえば設定萌な映画ベスト。ポエジー。

 

7:明日に向って撃て!(1969年)

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アメリカン・ニューシネマの中でも頭ひとつ飛び抜けて好きだ。

男二人のロードムービーがかなり好きなんだけど(「マイ・プライベート・アイダホ」、「真夜中のカーボーイ」とか)、これでその好みが決定づけられた。もう二人が最高にかっこいい。それだけでずっと見てられる。

最後まで二人共軽口叩きあっててさ、あっさり死んじまうのも大好きなんだよな。

 

6:汚れた血(1986年)

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レオス・カラックス、初めて見たのは「ボーイ・ミーツ・ガール」で、なんかやたら綺麗な画を撮る人だなくらいにしか思ってなかった。

最近になってようやく、これ見たんだけど、恐ろしいほどに素敵だった。

全ての調律が完璧に合っているような映画でどの部分を抜き出してみても本当に素晴らしい。

どこかにも書いたような気がするけれど、感情的になりすぎてそこを突き抜けた結果、むしろ逆にポエティックになっているような印象を受けた。

色々考えることがありすぎてどうすることも出来なくなってしまった夏の夜に見返すのがぴったりな映画であるように思う。

 

5:ポンヌフの恋人(1991年)

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レオス・カラックスのアレックス三部作の中でも一番好きだ。

汚れた血」に比べるとこちらのほうがスペクタクルであるけれどややバランスが悪いというか、どうしても「汚れた血」がバランスタイプの映画であるのに対して、こちらは前作にて先鋭的だった部分を拡大解釈して再構成した歪な映画であるように思う。でもこっちのほうが好きなんだよな。

レオス・カラックスの映画見てると過剰にパリに行きたくなるので最近は見ないようにしてる。

 

4:ペパーミント・キャンディ(1999年)

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イ・チャンドン、撮る映画どれも名作で見終わった後の余韻がやばいんだけど、その中でも特にこの「ペパーミント・キャンディ」には死ぬほど痺れた。

やさぐれて死のうとしている男の過去を、五年ずつ遡って青年時代まで追っている映画なんだけど、ああ、これは若いうちに見て良かったなって、そんな風に思えるような映画だった。

出演している俳優陣の層がものすごく厚くて、主演のソル・ギョングだったり、ムン・ソリがマジで最高の演技してる。重厚でありながら見にくくない。

人生を振り返ってみた時に、取り返しのつかない過去はただ思い返して並べて見つめることしか出来ないんだということも改めて痛感させられる。韓国映画ベスト。

 

3:46億年の恋(2005年)

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三池崇史ジョジョ四部を映画化したり、やりたい放題だけど、この映画はマジで好きなんだよな。「明日に向って撃て!」のところでも触れたけど、男二人のロードムービーが本当に好きで、これもそれにばっちりハマってると思う。

ブロマンス全開でありながら、直接的な描写は無し、設定もどこか仮想空間のような地に足つかない説明不足なところもあるけれど、それが逆にこの映画の神秘性を増していて最高だ。

映画って大きく分けて、全体を通して良いものと、ある一点が素晴らしく集中して評価されたため結果的に良い映画の2種類存在するように思う。この映画は後者で主人公二人の心情独白シーンが美しすぎるんだよな。このシーンのために全ての設定が存在して全ての前振りとしての物語があるのではないかと思えてしまうほど。邦画ベスト。

 

2:ダウン・バイ・ロー(1986年)

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ジム・ジャームッシュ、大好きな監督のうちの一人だけど、これはその中でも群を抜いて好きだ。

初めて映画を見ていてああこのまま終わらないでくれと思った映画でもある。

男三人のロードムービーなんだけど、全ての台詞に気が利いてるというか、どこを切り取っても最高すぎる。トム・ウェイツは本当になにさせてもかっこいいな。来世はトム・ウェイツになりたい。

 

1:ホーリー・マウンテン(1973年)

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アレハンドロ・ホドロフスキーホーリー・マウンテンが人生ベスト映画。

どう考えても後からとってつけたようなストーリーとこの映画のオチは大爆笑必至だが、物語の過程の映像美が圧倒的。ワンカットの映像に詰められたアイデアが、それを引き伸ばせばひとつの別の映画にできてしまうのではないかと思えるような情報量の密度で圧倒される。冗談抜きで見返すたびに新しい発見と驚きがある。

この映画のラストが死ぬほど好きだ。最初見た時死ぬほど笑った。

 

 

他にも

不思議惑星キン・ザ・ザ

オールド・ボーイ

カサブランカ

ペーパー・ムーン

そこのみにて光り輝く

ブロンソン

恋人たち

ミラーズ・クロッシング

月光の囁き

イカとクジラ

ノスタルジア

花様年華

このあたりも入れ替え候補だけど、特に上位3つは当分の間固定。

もうあと3年くらいこの生活を続けたら、一切映画見ないような人生を送りたい。